こんにちは。30代一級建築士女子のWindyです。
本日は「無窓居室で気をつけなあかんこと」についてまとめます。
私は大阪の某小規模設計事務所で中~大規模の意匠設計に従事しているのですが、
同じように中大規模の設計に携わっている設計者のみなさん、
無窓居室になったら気にしないといけないことが色々とありすぎません?
毎回整理するのも大変なので、今回一念発起してまとめてみようと思います。
- 事務所、工場、医療施設など中~大規模の建物を設計している
- 無窓居室のある建物を設計している
- 無窓居室を毎回調べるけど、ぐるぐるして結局わからへんくなる
設計実務で苦労している方に、お仕事のお役立ていただけますと幸いです。
今回該当する建物のイメージ
中大規模で窓のない居室ができる建物のイメージ

今回のまとめノートが対象とする建物のイメージは次のようなものです。
- 1000㎡を超えてくるような中大規模の建物
- 各階の床面積がけっこう大きい
- 建物中央部に窓が設けられない部屋が発生するようなケース
- 事務所、オフィスビルで窓のない事務室など
- 工場や物流倉庫の中の、窓のない事務室など
- 医療施設、福祉施設の中の、スタッフ部門の窓のない事務室など


敷地条件やプランによって、事務室や会議室、スタッフの休憩室で窓がない部屋ができるケースは結構あるよね
7分の1の居室採光が要求される用途は除く
今回の記事でまとめる無窓の居室については、
- 住宅、マンションの居室
- 老人ホームの住室や、病院の病室
- 学校の教室
など、建築基準法第28条・施行令第19条の規定により居室に採光が必要なケースは除きます。

例えば、住宅の居室は、室面積に対して7分の1以上の有効採光が取れる窓を設けなければいけないね
なぜこのような用途を除くかというと、第28条の居室採光は必須の条文であるからです。
第28条の採光が確保できない建物は建てることができないのです。

第28条の採光が確保できない居室は存在しない、ありえないということだよ
今回のまとめノートが対象とする居室は、
- 事務室
- 会議室
- 職員用の休憩室
といった、あくまでも第28条の採光が要求されない居室を対象としています。
この前提で続きの本文を読み進めていただければと思います。
無窓居室で気をつけなあかん規定4つ
はじめに結論として、無窓居室がある建物を設計する上で気をつけなければならない、うっかり見落としがちな「無窓居室に対してかかる規定」4つをお伝えします。
- ①歩行距離
- ②非常用照明
- ③耐火or不燃区画
- ④排煙設備


こんなにたくさん気ぃつけなあかんねんなあ…

大変だよね
順番に各項目の内容を説明していきます。
①無窓居室は階段までの歩行距離が厳しくなる
無窓居室で気をつけなければならない規定1つめは、歩行距離です。
中大規模の建物では、階段までの歩行距離について制限を受けますが、
無窓居室はその歩行距離の規定が厳しくなります。
建築基準法施行令第120条の表をざっくり抜粋すると下記の通り。


正確な定義や言い回しは法文を確認してな
つまり、窓のある居室であれば、階段までの距離が50mでよかったところを、
無窓居室になってしまったとたん、30mと、一気に20mも厳しくなってしまうのです。
特に、プランニングで厳しくなるのは重複距離。
内装による歩行距離の緩和(令第120条第2項)を使って、歩行距離をプラス10mにしたとしても、
重複距離は
(30 + 10)÷ 2 = 20m
最大20m以内にしなければいけません。

令和5年に歩行距離の緩和告示が出されたから、緩和をしたい場合は参照してな
令和5年国土交通省告示第208号
直通階段の一に至る歩行距離に関し建築基準法施行令第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室と同等の規制を受けるものとして避難上支障がない居室の基準を定める件
②無窓居室は非常用照明をつけないといけないかも
無窓居室で気をつけなければならない規定2つめは、非常用照明です。
無窓居室では、令126条の4の規定により、非常用照明をつけないといけない可能性があります。
- (1)~(4)項の用途の特殊建築物
- 階数3以上、延べ面積500㎡超の建築物
- 令116条の2 1項一号の無窓居室
- 延べ面積1000㎡超の建築物
※令ただし書き、H12建告1411によるによる免除あり
③無窓居室は耐火または不燃の壁で区画しないといけない
建築基準法第35条の3で規定されている
無窓居室で気をつけなければならない規定3つめは、耐火構造または不燃材料による防火区画です。
建築基準法第35条の3により、無窓居室は、耐火構造または不燃材料でできた壁・床でくるりと囲わなければなりません。
政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で作らなければならない。ただし、…(以下略)
なお、この規定にも緩和される居室の条件が告示で出されています。
令和2年国土交通省告示第249号
主要構造部を耐火構造等とすることを要しない避難上支障がない居室の基準を定める件
※令和6年に改正されているよ
令和6年国土交通省告示第221号
防火区画を貫通する風道に設ける防火設備の構造方法を定める件等の一部を改正する告示
④無窓居室は排煙設備を設けないといけない
建物用途や規模で排煙設備が不要な場合も、チェックが必要
無窓居室で気をつけなければならない規定4つめは、排煙設備です。
令126条の2により、無窓居室は原則として排煙設備を設けなければなりません。

建物用途や規模で排煙設備がいらない場合も注意が必要だよ
- (1)~(4)項の用途の特殊建築物で、延べ面積500㎡超
- 階数3以上かつ延べ面積500㎡超(除外規定あり)
- 令116条の2 1項二号の無窓居室
- 延べ面積1000㎡超の建物で、200㎡超の居室
H12建告1436号の適用時は内装と戸の制限に注意
無窓居室では、いわゆる「排煙告示」とよばれるH12建告1436号の適用を検討することが多いかと思います。
告示1436号で居室に対してよく利用するのは、”三号ヘ-5”ではないでしょうか。
ざっくりと言うと、
- 居室面積が100㎡以内
- 壁と天井の下地・仕上げを不燃にする
上記の条件を満たせば、排煙設備を設けないことができます。

告示1436号は令和7( 2025)年に改正されているから合わせて確認してね
この”三号ヘ-5”を適用する際に気を付けなければならないのは、戸の規定です。
告示では直接規定されていませんが、
- 防火避難規定の解説
- 建築設備設計・施工上の運用指針
- 行政が発行している建築基準法取扱い
これらの書籍に戸の規定が記載されています。
ただし、これらの規定は審査機関によって取扱いが異なることがあるため、確認申請を出す審査機関にヒアリングをする必要があります。

審査機関によっては、常閉・不燃にするよう指導するところもあるで
防火避難規定の解説では直接規定されていませんが、「参考」の質問回答のページに、戸の条件について次のように書かれています。
”「建築設備設計・施工上の運用指針」(㈶日本建築設備・昇降機センター)を参照のこと。”
三号ヘ-5を適用する居室の戸に対して、次のような記述があります。
”避難経路等に面する場合は、表面を不燃仕上げとした戸とし、かつ、常時閉鎖とすることが望ましい。”
また、関西圏のみが対象となりますが、いわゆる「近畿取扱い」に次のような記述があります。
三号ヘ-5を適用する居室の戸に対して、次のような記述があります。
”居室又は避難経路に面する開口部は、自閉式不燃戸(扉上部の垂れ壁は30cm以上)とすべきである。”

これらの記述に対する取扱いは審査機関によって異なることがあるので、確認申請を行う機関にヒアリングしてね
補足:敷地内通路の規定も対象
最後に、無窓居室に対する規定として、補足があります。
法35条・令116条の2に規定する無窓居室を有する建物は、建物の出口等から道路に至る敷地内通路を確保しなければなりません。
ただ、今回想定している建物は、事務所ビルや工場、医療施設など、一定規模以上の建物。
無窓居室があろうがなかろうが、そもそも規模や用途で敷地内通路が必要になるケースが多いだろうと思いましたので、
うっかり見落としがちな「気をつけなあかん規定」からは除外しました。
まとめ
無窓居室で気をつけなあかん規定4つ
- ①歩行距離
- ②非常用照明
- ③耐火or不燃区画
- ④排煙設備

設計業務の参考にしていただけると幸いです!

他にもこんな項目があるよ!とか情報があったら教えてくれると嬉しいで~


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