こんにちは。30代一級建築士女子のWindyです。
今日は、撮影した建物の写真を紹介します!
紹介する建物は、大阪府松原市にある「読書の森 松原市民松原図書館」です。
水面に浮かぶ、重厚なコンクリート外壁が特徴的な建物で、2020年5月号の新建築にも掲載されています。
中~大規模建築物の設計実務者である私が気になるポイントを中心に見ていきますので、
設計者ならではのニッチな視点をお楽しみいただけると幸いです~
- 所在地:大阪府松原市田井城3-1-46
- 竣工:2019年
- 設計:MARU。architectureさん+鴻池組さん
- 施工:株式会社鴻池組さん
- 延べ面積:2987.33㎡
- 構造:RC造(一部S造)
- 規模:地上3階建
目を引く外観と雨仕舞のディテール
近鉄南大阪線「高見ノ里」駅から歩いて向かいました。

住宅地を歩いていく中、突如として現れる紫色の異質なカタマリ。
ほんとに池に浮いたようになってる!

違う角度からの写真。
外壁の色は、お隣の松原市民体育館と似たような色になってますね。
この外壁の色、調べてみたところ、コンクリートに色粉を混ぜているらしい。

そんなことできるんやー

色粉を混ぜて使うにはJISの強度実験が必要になるらしいんだけど、鴻池組さんが設計段階から関わっていたからこそ、設計期間に実験を行って実現できたんだって

外壁からはバルコニーやらがにょきにょきと突出しています。
これは雨樋。

バルコニーからの竪樋の雨水を、突き出した雨樋で受けて、そのまま池に落としちゃえという。

こういう突き出した雨樋を、ガーゴイルというらしいです。

突き出すことで外壁の汚れを防ぐよ

道路と建物を繋ぐ橋の下を、排水管が通っているのを発見!!

建物の排水は、雨水とは違って、直接池に流せないもんね
橋の下に配管してうまいこと目立たないようにしていますね。
たぶん、1FLの下で排水管を振って、排水しているんだと思います。

FL設定は下水管の高さを考慮して設定しておかないと、こういう排水処理ができなくなるので、勉強になります~
吹抜けで繋がった室内空間

建物は3階建てですが、1階から2階がスキップフロアになっており、空間が連続的に繋がっています。

書棚の側板の背が高くなっていて、分類が表示されています。

書棚の間で本を探していても、表示が見やすく感じました
この建物は、大きく、外壁がRC造で、内部が鉄骨造の考え方のようです。

内部の鉄骨柱は細く、林の中にいるみたいですね。

2階の雑誌閲覧コーナー、おいもカラーのソファがかわいい。

その上では、鉄骨階段が壁から伸びたRC梁で受けられていました。

ダイナミック!

同じく2階の雑誌閲覧コーナーに、丸出しのPSを発見。
通常PSは壁を作って隠しちゃいますが、こんなふうに見せちゃう考え方もできるんですね。
きたならしい印象がなく、むき出しでもこんなにきれいに仕上げることができるんだと、驚きました。

さらに奥、書棚に排煙オペレーターが設置されていました。
消火器も隠ぺいされてるけど、こういったのを家具につけるっていう発想になりにくいよね~
壁につけると書棚の邪魔になりそうだし、この方が使いやすい高さに取り付けられていいね。

3階は子どものフロアになっていましたが、1・2階のような吹抜けの連続性はなく構成されていました。
3階を下の階とある程度分離させたのは、きっと音の配慮をしたのかな?
お子さんがのびのびはしゃいでも、1・2階の静寂性が保てるようにしたんじゃないかなー、と推測します。


フロアの中央部にガラス張りの吹抜けがあり、音は通さないけれど視覚的には抜けるようなつくりになっていました。

胸より下の高さの窓。かわいい。

靴を脱いで利用するエリア。お話しスペースと扉で区切れるのは、スペースの使い方の幅が広がりそうです。
躯体の延長上の家具
RCの躯体を延長してつくられた家具が随所にあって、特徴的だなあと思いました。

子どものフロアのテーブル。

床が下がった1階の、階段の脇に作られたベンチ。
ほか、利用者の方がいたので撮影できてないんですけど、池に面したカウンターデスクなんかもありました。
一見、人工的で無機質なコンクリートのカタマリが、人間に寄り添っている感じがしていいな~と。
テラスたくさん

階段を上がっていくと、屋上に広々としたテラスがあります。

平日日中に行ったので利用者がいませんでしたが、気候のよい季節は気持ちよさそう!

植えられたお花が、外壁の色と相まってキュートな印象。


衝突防止マーク。建物が水面に映ったようなロゴになってますね。

屋上だけでなく、各フロア随所にテラスがありました。

最近テラスのある図書館が多いね
階段のディテール
設計をしていると階段の納まりに悩むことが多いので、建物を見に行くと階段に注目することが多いです。

鉄骨階段で、踏板はモルタル詰め。

音がカンカンと鳴り響かないように配慮してるね

外壁部との取り合い。
隙間を鉄板?でふさいでいるようです。
わざわざ外壁形状に合わせてクランクさせて、隙間を均一にしている。

手摺はふしぎな作り方をしていました。親柱と笠木が1つのフレームになっていて、手摺子は別でボルト止めされています。

金網は親柱に溶接されてるんかなあ。
手摺子にも結びつけられているけど、たわみ防止程度じゃないかなーと。どうだろう?
おまけ:お隣のカフェ「桜珈琲」さんで休憩できるよ

建物の見学後、お隣にカフェ「桜珈琲 松原店」さんがあって立ち寄りました。
店内に中庭があり、枯山水が設えられていて素敵な空間でした~

ケーキ美味しかった!
松原市民松原図書館にお越しの際はぜひ!

「桜珈琲 松原店」から見える松原市民松原図書館。屋外直通階段が見えます。
まとめ
松原市松原図書館の建築的みどころ!
- 水面に浮かぶ紫色の重厚なコンクリート外壁
- スキップフロアで連続した内部空間
- 外部を感じられる屋外テラス
個人的には、
- 雨仕舞の納まり
- PS竪管、排水管のルート
- 躯体と一体になった家具のつくり
- 階段の納まり
といった部分が実務の上で勉強になりました。
スキップフロアで視線が抜けるとても気持ちのいい空間なので、建築好きの人もそうでない人も、ぜひ見に行ってみてね~


コメント