空調設備第2回ノートです。
前回の大枠の解説を踏まえて、本日は、建築士試験でよく問われる
代表的な3つの空調方式についてまとめます。
- 代表的な空調方式の概要を理解する
空調設備シリーズ第1回、第3回の記事も合わせてお読み下さい(^^)
単一ダクト方式
まず1つめの「単一ダクト方式」は、
その名の通り「ダクト」により空気を送風する方式です。
パワフルな熱源機による「中央熱源方式」のうちの1つです。
空調の流れ
1.熱源で熱をつくります。
2.熱媒体で熱を運びます。
3.空気調和機で空気の温湿度調整などを行います。
4.調整された空気をダクトにより各室に送風します。
5.室内の空気は「還気」として再び空気調和機に戻されます。
単一ダクト方式の特徴
ダクト
空気調和機で温湿度を調節した後の「空気」自体を各室まで持っていきます。
ダクトにより送風するため、
DS(ダクトスペース)、天井ふところスペースが必要になります。
冷温水
熱源機から空気調和機まで熱を運ぶ「熱媒体」は冷温水となります。
そのためPSが必要となります。
空気調和機
大型の「空気調和機」で温湿度調整を行うため、
専用の空調機械室が必要です。
空気調和機で外気の取り込みが可能なため、
空調と同時に換気を行うことができます。
単一ダクト方式のメリット
- 吹出し能力が高い。天井の高い大空間にも対応できる。
- 換気を同時に行える。
- 機器の数が少なく、空調機械室等に集約されているので、保守点検が容易
- システムが単純で設備費も比較的安い
<向いている用途>
映画館、百貨店の売場、工場など、建物全体またはゾーンで連続的に均一な空調が求められる用途
ファンコイルユニット方式
ファンコイルユニット方式も単一ダクト方式と同じく、
パワフルな熱源機による「中央熱源方式」に分類されます。
しかし単一ダクト方式とは異なり、
機械室が必要になるような大きなサイズの空気調和機は使用しません。
小ぶりな「ファンコイルユニット(FCU)」と呼ばれる
室内機が各室に設置されており、
その室内機で温度調整と送風を行います。
空調の流れ
1.熱源で熱をつくります。
2.熱媒体で熱を運びます。
3.ファンコイルユニットで空気の温度調整を行い、直接送風します。
ファンコイルユニット方式の特徴
ファンコイルユニット
温度調整は各室に設置されたファンコイルユニットで行います。
外気の取り入れはなく、室内空気を循環させるシステムのため、換気を行うことはできません。
冷温水
単一ダクト方式と同様、
熱源機から空気調和機まで熱を運ぶ「熱媒体」は冷温水となります。
そのためPSが必要となります。
ファンコイルユニット方式のメリット
- ファンコイルユニット1台ごとに個別制御が可能
- 空調機械室が不要
- 室内機に種類があり、目的に応じて適切な室内機を選べる
(天井カセット型/天井隠蔽型/床置き型(直吹き))
<向いている用途>
ホテルの客室 病院の病室など
空冷ヒートポンプパッケージ方式
続いては空冷ヒートポンプパッケージ方式です。
こちらはパワーの弱い熱源機が複数で空調を行う「個別分散熱源方式」になります。
空調の流れ
1.熱源で熱をつくります。
2.熱媒体で熱を運びます。
3.室内機で空気の温度調整を行い、送風します。
空冷ヒートポンプパッケージ方式の特徴
室内機で送風
温度調整は各室に設置された室内機で行います。
ファンコイルユニット方式と同様、
外気の取り入れはなく、室内空気を循環させるシステムのため、
換気を行うことはできません。
冷媒
空冷ヒートポンプパッケージ方式の熱媒体は
「冷媒」と呼ばれるガス(気体)です。
そのため冷媒管のための空調用PSが必要です。
空冷ヒートポンプパッケージ方式のメリット
- 室内機1台ごとに個別制御が可能
- 利用時間、使用状況に応じて
空調したい室・ゾーンのみ熱源機を動かせるため、省エネ性が高い - 1台が故障しても他室の空調機は動かせるので、
建物全体への影響が限定的で済む - 室内機に種類があり、目的に応じて適切な室内機を選べる
(天井カセット型/天井隠蔽型/床置き型(直吹き)/床置き型(ダクト接続))
<用途>
中小規模の貸事務所、店舗ビルなど、フロアやゾーンごとに使用状況や利用時間が異なる用途
まとめノート
本日のまとめノートです。
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