こんにちは!30代一級建築士女子のWindyです。
この記事のテーマは、「構造計算の種類、ルートの特徴をざっくり理解しよう!」です。
業務で建物の設計をしていると、
- ルート1が使える建物やね
- 壁がないから、ルート3じゃないと無理そうやわあ
- ルート3でメリットなさそうやから、ルート1でいきますわ
といった会話を意匠設計者と構造設計者の間ですることはありませんか??

あるわあ~
一方で、建築士資格の試験勉強でテキストを読んだり、業務で法令集を読んだりしても、
「ルート」という記載は出てきませんよね。

ルートは法律用語じゃないんだね
- 許容応力度計算 とか
- 保有水平耐力計算 とか
- 限界耐力計算 とか
色々習ったけど、それぞれがどのルートに対応しているのかあいまいになりがちです…。
そこで本日は、構造計算のそれぞれのルートが
- どの名前の構造計算に対応しているのか
- どの法文で規定されているのか
- どんな特徴があるのか
をざっくり整理しちゃいます!
- ルートがどの名前の構造計算に対応しているんかわからへんくなった人
- 建築士を目指しているけど法20条関係の条文がぜんぜん読まれへん人
- 設計の実務で「ルート3にした方がメリットあるんちゃいますか?」ってびしっと言ってみたい人
この記事でルートの全体像を理解しましょう~

あくまで全体像をざっくり理解するための記事やから、細かいことは省いてるで

より専門的な情報を得たい方には物足りないかもしれませんが、ご了承下さい
構造計算方法は比較的簡易なものから複雑なものまで、5種類の方法があるよ
さっそく、構造計算方法の種類を確認していきましょう!
構造計算には、建築基準法で定められている代表的な方法として次の5つがあります。
- 許容応力度計算(ルート1)
- 許容応力度等計算(ルート2)
- 保有水平耐力計算(ルート3)
- 限界耐力計算
- 時刻歴応答解析

試験勉強で習ったなあ…

ルートと呼ばれているのが上の3つなんだね
この5つは、ざっくりとらえると、
- 上にいくほど 簡単、シンプルな建物、小規模な建物向け
- 下にいくほど 大規模な建物、大スパンの建物や複雑な建物向け
という関係性になります。


まずは大まかなイメージをとらえよう
建物規模や構造によって使える構造計算方法が定められている
大規模の建物は、上位の構造計算方法を使わないといけない
5種類の構造計算方法を紹介しましたが、建物の規模によって
使ってよい構造計算方法が決まっています。

建築基準法で定められているよ
使ってよい構造計算方法を規定している条文
- 建築基準法第20条
- 建築基準法施行令第81条
それを表で整理したものが、以下の図になります。

表の左側が小さい建物、右側が超高層ビルのような大規模な建物を表しています。
建物がある一定の規模以上になると、左側の簡易な構造計算方法を使うことはできなくなります。

大規模建築物は、上位の構造計算方法を使うしか選択肢がないってことだね
小規模建物は、上位の構造計算方法を使ってもOK
一方で、小規模な建築物は、
その規模で使える簡易な構造計算方法に縛られることなく、
上位の大規模建物用の構造計算方法を用いることもできます。
例えば、小規模な建物で、
- スパンがとても長い
- 建物重量が偏っている
といったような特性がある場合などは、あえて上位の構造計算方法を採用することがあります。
簡易な計算方法では、計算方法の条件から外れてしまう場合でも
より精密な構造計算を採用することで、建物の安全性を確かめられるというわけです。

他にも、柱や梁の部材を小さくしたいなど、経済設計をしたい場合に上位の構造計算を用いることがあるよ

それで、ルート1が使える建物でも、あえてルート3を使ったりするんやな
ではここからは、それぞれの構造計算について
- 採用できる建物規模
- どんな計算をやっているかの内容の概略
について整理していきたいと思います。
なお、この記事では、「ルート」と名前のついている
- 許容応力度計算(ルート1)
- 許容応力度等計算(ルート2)
- 保有水平耐力計算(ルート3)
についてのみ深堀りしていきたいと思います。
- 限界耐力計算
- 時刻歴応答解析
については、使用する建物が限られるかと思いますので、割愛させていただきます。
ルート1「許容応力度計算」は各部材が耐えられるかどうかを検証する

ルート1の計算方法の概要
まずは、ルート1の「許容応力度計算」です。
許容応力度計算では、柱や梁といった各部材が、地震・台風といった外力に対して耐えられるか、という検証を行います。

部材ごとに計算する、というのがポイントだよ
建築基準法施行令第81条第3項
許容応力度計算の基準
- 令第82条(許容応力度の計算方法)
- 令第82条の4(屋根ふき材等の構造計算)
計算の手順としては、
- 地震や台風によって、部材に生じる応力度を計算
- 部材が耐えられることができる応力度(=許容応力度)を計算
- 生じる応力度 ≦ 許容応力度 であることを確認
という考え方になります。
ルート1が適用できる建物規模
ルート1が適用できる建物規模は、木造と鉄骨造・鉄筋コンクリート造で、それぞれ下記の通りです。
- 地階を除く階数3以下 かつ
- 高さ16m以下
- 地階を除く階数3以下 かつ
- 高さ20m以下

木造は2025年に法改正があって、規模が変更になったね
- 建築基準法第20条1項第三号
(許容応力度計算の対象となる建築物)
※規模は第二号を参照しているよ
ルート2「許容応力度等計算」は、ルート1にプラスアルファした計算

ルート2の計算方法の概要

ん?ルート1と同じ名前?

よーく見てね
続いて、ルート2なのですが、名前から確認しましょう。
- ルート1 許容応力度計算
- ルート2 許容応力度等計算
並べるとわかる通り、ルート2の計算の名前には「許容応力度”等”計算」と”等”の字が差し込まれています。
ルート2は、ルート1の「許容応力度計算」に、プラスアルファを加えた計算方法になります。
具体的には、建物全体の変形やバランスについて確認する
- 層間変形角
- 剛性率・偏心率
の規定が付加されています。
建築基準法施行令第81条第2項第二号イ、第82条の6
許容応力度等計算の基準
- 令第82条(許容応力度の計算方法)
- 令第82条の2(層間変形角)
- 令第82条の4(屋根ふき材等の構造計算)
- 令第82条の6第2項(剛性率・偏心率)
ルート2が適用できる建物規模
ルート2が適用できる建物規模は、高さが31m以下の建築物となります。
- 建築基準法施行令第81条第2項第二号イ
(許容応力度等計算の対象となる建築物)
ルート3「保有水平耐力計算」は建物全体の水平耐力を検証する

ルート3の計算方法の概要
最後に、ルート3「保有水平耐力計算」です。
保有水平耐力計算では、建物全体で見た「水平耐力(=水平力に耐える力)」が、地震・台風といった外力に対して耐えられるか、という検証を行います。

ルート1では部材ごとに検証をしていたね

建物全体、総和による耐力を検討するので、
建物全体の耐力を評価できるため、結果として断面を合理化できる場合があります。

総合力で見るってことやな
計算の手順としては、
- 建物が持っている水平耐力(=保有水平耐力)を計算
- 建物が地震等に耐えるために必要な水平耐力(=必要保有水平耐力)を計算
- 必要保有水平耐力 ≦ 保有水平耐力 であることを確認
という考え方になります。
建築基準法施行令第82条
保有水平耐力計算の基準
- 令第82条(許容応力度の計算方法)
- 令第82条の2(層間変形角)
- 令第82条の3(保有水平耐力計算)
- 令第82条の4(屋根ふき材等の構造計算)

保有水平耐力計算では、ルート2で求められる剛性率・偏心率の基準は適用されないんだね
ルート3が適用できる建物規模
ルート3が適用できる建物規模は、高さが60m以下の建築物となります。
- 建築基準法施行令第81条第2項第一号イ
(保有水平耐力計算の対象となる建築物)
※規模は法第20条第1項第一号を参照しているよ
まとめ
構造計算方法5つ!
- 許容応力度計算(ルート1)
- 許容応力度等計算(ルート2)
- 保有水平耐力計算(ルート3)
- 限界耐力計算
- 時刻歴応答解析
ルートってどれがどれやっけ?と混乱したときに見返せるソースとして
ご活用いただけますと幸いです!


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